助け合いは日本の文化です
自助(個人)
自分で自分を助けること。自分の力で住み慣れた地域で暮らすために、市場サービスを自ら購入したり、自らの健康に注意を払い介護予防活動に取り組んだり、健康維持のために検診を受けたり、病気のおそれがある際には受診を行うといった、自発的に自身の生活課題を解決する力。
互助(近隣)
家族・友人・クラブ活動仲間など、個人的な関係性を持つ人間同士が助け合い、それぞれが抱える生活課題をお互いが解決し合う力。
相互に支え合うという意味では「共助」と共通するが、費用負担が制度的に裏付けられていない自発的な支え合いであり、親しいお茶飲み仲間づくりや住民同士のちょっとした助け合い、自治会など地縁組織の活動、ボランティアグループによる生活支援、NPO等による有償ボランティアなど幅広い様々な形態が想定されます。
共助(保険)
制度化された相互扶助のこと。医療、年金、介護保険、社会保険制度など被保険者による相互の負担で成り立ちます。
公助(行政)
自助・互助・共助では対応出来ないこと(困窮等)に対して最終的に必要な生活保障を行う社会福祉制度のこと。公による負担(税による負担)で成り立ち、区が実施する高齢者福祉事業の外、生活困窮に対する生活保護、人権擁護、虐待対策などが該当します。
それぞれの助の関係性
基礎となるのは「自助」
自分が主体となり、自身を大切にして尊厳を持ちながら生活を行うという心構えと行動が最も大切であり、4つの「助」の基礎は「自助」となります。
なお、「共助」となる介護保険制度自体も、要介護者等が「尊厳を保持し、有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」支援するもので、国民も「自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努める」ものであり、一人一人の「自助」を基礎に成り立っています。
「自助」を支えるのは「互助」
あくまで自分だけの力となる「自助」にはどうしても限界があります。また、年老いて身体が思うように動かなくなっていく高齢期に、自分ひとりだけで何とかするという考えでは、モチベーションも続かない可能性があります。
つまり、自分自身で行き詰った時のサポートが必要であり、時によっては、自身がサポートする側に回ることもできて、その役割を持ち続けられるような人と人同士が支え合う「互助」が必要となります。
ナルク芦屋のボランティア活動は互助精神が柱となっています。お互いの助け合いこそがもっとも大切であると考えています。
「互助」で難しい課題は「共助」
「互助」で支え合う事は、支えてもらう側と支える側の力のバランスが重要となり、そのバランスが崩れると支える側がギブアップしてしまい、「互助」の関係性が壊れてしまいます。
そこで、必要に応じて自身の「権利」として利用ができる「共助」が登場し、第三者が介入することで、「自助」を支え、「互助」の負担を減らし、バランスを整えています。
「自助・互助・共助」でも難しい課題は「公助」
「自助・互助・共助」で支え合っていても、どうしても解決が出来ない課題には、最終的に「公助」が対応します。
貧困や家族関係の悪化や虐待など、第三者が介入しづらく、また、対応方法も難しい問題については、生命に危険を及ぼすおそれがあるため、公的な判断のもと支援を行う必要があります。
(参考文献等)
- 堀田力・服部真治編著(2016)『私たちが描く新地域支援事業の姿-地域で助け合いを広める鍵と方策』中央法規出版株式会社.
- 厚生労働省『地域包括ケアシステムの5つの構成要素と「自助・互助・共助・公助」(平成25年3月 地域包括ケア研究会報告書より)』